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ウガンダとはどんな国か?歴史や経済、観光などわかりやすく解説!

ウガンダ

ウガンダの概要と地理

ウガンダは、東アフリカの内陸に位置する国で、ウィンストン・チャーチルが「アフリカの真珠」と称した豊かな自然と多様な文化で知られています。面積は約241,553平方キロメートルで、英国やガーナに匹敵し、ケニア、南スーダン、コンゴ民主共和国、ルワンダ、タンザニアに囲まれた海のない国です。赤道直下に位置し、国土の約17%が湖沼や湿地、12%が国立公園や森林で覆われ、生物多様性が際立つ地域です。首都カンパラは、ビクトリア湖の北岸に位置する経済・文化・政治の中心で、約420万人が暮らす活気ある都市です。ウガンダは、45以上の民族、豊富な言語、伝統的な生活様式を持ち、観光、農業、天然資源を基盤に経済成長を目指しています。近年、石油やICT(情報通信技術)の発展が注目され、アフリカの新興国としての可能性が高まっています。本章では、ウガンダの地理的特徴、気候、人口構成を詳細に解説します。

地理と自然環境

ウガンダの地形は、標高1,000~1,500mの中央高原と、西部のルウェンゾリ山脈、東部のエルゴン山から成ります。ルウェンゾリ山脈のマルゲリータ峰(5,119m)は、アフリカで3番目に高い峰で、ユネスコ世界遺産に登録されています。氷河と熱帯雨林が共存するこの山脈は、登山愛好者や研究者に人気です。ビクトリア湖はアフリカ最大の淡水湖で、ウガンダの南東部に広がり、ナイル川の源流(ジンジャ付近)として知られています。湖周辺の湿地は、カバ、ワニ、ペリカン、シュバシコウなど多様な野生動物の生息地で、漁業(ティラピア、ナイルパーチ)や観光の基盤です。アルバート湖、キョーガ湖、エドワード湖も水資源を支え、灌漑や水力発電に活用されます。ブウィンディ国立公園とムガヒンガ国立公園は、世界のマウンテンゴリラの約50%が生息し、1,060種以上の鳥類(アフリカの10%)、ビッグファイブ(ライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファロー)が観察可能です。キデポバレー国立公園は、半乾燥地帯でダチョウやチーターが生息し、秘境として知られます。この生物多様性は、ウガンダを世界的なエコツーリズムの目的地にしています。 気候は赤道付近ながら高原地帯のため穏やかで、年間平均気温は20~25℃。南部は3~5月と9~11月の雨季、北部は4~10月の降雨が特徴で、北東部のカラモジャ地域は半乾燥気候(年間降水量400~500mm)です。2024年のウガンダ環境省報告では、気候変動による降雨パターンの不安定化が農業に影響を及ぼし、洪水や干ばつが頻発。政府は灌漑システムの拡張(全国の2%から5%へ)や耐乾性作物の導入を進めていますが、資金と技術の不足が課題です。2023年のFAOデータによると、カラモジャ地域の作物収量は降雨不足で30%減少し、食糧安全保障が脅かされています。

人口と民族構成

2025年のウガンダ人口は約4,748万人(ブリタニカ推定)で、アフリカで最も急速に成長しています。年人口増加率は約3.2%で、平均年齢は16.2歳と若年層が中心。民族はバントゥー系(バガンダ18%、バニャンコレ10%、バソガ8%)、ニロティック系(アチョリ、ランギ)、ニロ・ハミティック系(カラモジャ、テソ)に分かれ、45以上の言語が話されます。バガンダは中央部のブガンダ地域に集中し、ルガンダ語を話し、伝統的な王政文化を保持。バニャンコレは南西部の酪農地帯で、牛飼い文化が特徴です。北部のアチョリやランギは、農耕と狩猟を基盤とし、LRA反乱の影響で復興が課題です。英語が公用語で、スワヒリ語は東アフリカの共通言語として機能しますが、ルガンダ語、ルニャンコレ語、ランギ語も広く使用されます。この言語的多様性は、文化的豊かさを生む一方、教育や行政での統一言語の課題を浮き彫りにします。 人口の約80%が農村部に暮らし、都市化率は25%程度。カンパラ以外に、ジンジャ(工業都市、人口15万人)、ムバレ(西部の中心、10万人)、ムバララ(酪農地域、8万人)が主要都市です。海外からの送金は経済の柱で、2023年の世界銀行データでは年間23億ドル(GDPの5%)に達しました。英国、米国、カナダ、UAE在住のウガンダ人コミュニティが貢献し、特にカンパラの中産階級拡大を支えます。しかし、農村部の貧困率(約20%)や若年層の失業率(83%)が課題で、2024年の政府報告では、毎年100万人が労働市場に参入する中、雇用創出が急務とされています。

歴史と政治

ウガンダの歴史は、古代の王国時代、英国植民地時代、独立後の激動を経て、現在の相対的安定に至ります。13世紀にブガンダ王国が成立し、18~19世紀にはブニョロ、アンコレ、トロ王国が繁栄しました。英国の植民地支配(1894~1962年)は、伝統的社会を大きく変え、綿花やコーヒーの輸出経済を導入。1962年の独立後、政治的混乱や内戦が続き、特にイディ・アミン政権(1971~79年)は壊滅的な影響を及ぼしました。ヨウェリ・ムセベニ大統領の長期政権下で経済成長と安定が実現した一方、民主主義や人権の課題が国際的に注目されています。本章では、ウガンダの歴史的変遷と現代の政治体制を詳しく探ります。

植民地時代と独立への道

1830年代、アラブ商人や英国探検家(ジョン・ハニング・スピーク、1862年)がウガンダに到達し、ナイル川の源流を確認。1870年代、ブガンダ王国はアラブや欧州との交易で繁栄し、キリスト教やイスラム教が伝播しました。1894年、英国はブガンダ王国を保護領とし、ウガンダ保護領を設立。植民地時代には、ウガンダ鉄道(1896~1901年)の建設やインド系労働者の移住が経済を形成。綿花やコーヒーのプランテーションが導入され、1900年代初頭には輸出額の70%を占めました。1950年代、独立運動が高まり、ミルトン・オボテやベネディクト・キワヌカが指導者として台頭。1962年10月9日、ウガンダは独立し、オボテが初代首相、ブガンダ王ムテサ2世が大統領に就任しました。しかし、1966年のメンゴ危機でオボテがブガンダ王宮を攻撃、ムテサ2世を追放し、伝統的王国を廃止。この事件は中央集権化を進め、民族対立を深めました。メンゴ危機は、ウガンダの政治的統一と分裂のターニングポイントでした。 1971年、イディ・アミンのクーデターでオボテが失脚。アミンの独裁(1971~79年)は、50万人以上の死者、7万人のアジア系住民追放、経済崩壊を招きました。1978~79年のウガンダ・タンザニア戦争でアミンが追放され、短期間の不安定な政権が続きました。1980年、オボテが復帰するも、1980~86年のウガンダ内戦で50万人が死亡し、国民の信頼を失いました。

現代の政治とムセベニ政権

1986年、ヨウェリ・ムセベニ率いる国民抵抗軍(NRA)がカンパラを制圧し、ムセベニが大統領に就任。2021年の選挙で58%の得票率で再選され、38年間の長期政権を維持しています(BBC, 2023)。ムセベニは、年平均6%の経済成長、HIV/AIDS感染率の低下(18%から5.4%)、インフラ整備(道路網30,000km、電力アクセス40%)を実現しました。1997年の普遍初等教育(UPE)や2000年代の農業融資プログラムは、貧困削減に貢献。しかし、選挙不正、野党弾圧、言論の自由制限が批判されています。2021年のフリーダム・ハウス報告では、ウガンダを「部分的に自由」と評価し、野党候補ボビ・ワインへの逮捕や選挙暴力(50人死亡)を問題視。北部での神の抵抗軍(LRA)反乱は、20年間で数千人死亡、140万人の国内避難民を生みましたが、2008年以降は活動が縮小。2023年の国連報告では、北部の復興が遅れ、失業率(20%)や貧困(30%)が課題とされています。ムセベニ政権の安定は、経済発展と民主的自由のトレードオフを反映しています。 1995年の新憲法で非政党制が導入され、2005年に複数政党制が復活しましたが、国民抵抗運動(NRM)が議会の80%を支配。2024年、ムセベニの後継者問題が浮上し、息子ムホジ・カイネラバの登用が議論されています。

ウガンダ

経済と産業

ウガンダの経済は、農業を基盤としつつ、石油、観光、ICTなど多様な分野で成長しています。2024年度のGDP成長率は6.2%、2027年の石油生産開始で10.4%に達する予測です(世界銀行, 2024)。肥沃な土地、豊富な水資源、定期的な降雨が強みだが、若年層の失業率(83%)、貧困率(20%)が課題です。海外送金(年間23億ドル)や外国直接投資(FDI、23億ドル)が経済を支え、インフラ整備が進んでいます。本章では、主要産業、経済政策、成長展望を詳述します。

農業と輸出

農業は労働力の80%を雇用し、GDPの24%を占める経済の柱です。コーヒーは輸出額の19%を占め、アフリカ最大の生産国(国務省, 2009-2017)。ビクトリア湖の魚(ティラピア、ナイルパーチ、輸出17%)、バニラ(世界3位)、切り花(オランダ向け)、茶、タバコも成長分野です。バナナ、キャッサバ、トウモロコシ、豆類が国内消費を支え、食糧自給率は90%超。パリッシュ開発モデル(PDM)は、2023年に88万世帯に融資を提供し、農村経済を強化。女性農家のエンパワーメントが進み、2024年には女性向け農業融資が20%増加(FAO報告)。バニャンコレ地域の酪農やバソガの米作は地域経済を支えます。2023年の農業省データでは、コーヒー生産量が前年比10%増の600万袋に達しました。農業の近代化は、貧困削減と食糧安全保障の鍵です。 しかし、気候変動による干ばつや洪水が生産性を脅かし、灌漑施設(全国の2%)や耐乾性作物の普及が急務。カラモジャ地域では、降雨不足で作物収量が30%減少し、2024年に緊急食糧援助が10万人に提供されました。政府は、2025年までに灌漑面積を10%に拡大する計画を発表しています。

新興産業とインフラ

アルバート湖周辺での石油・ガス発見は、経済の転換点です。2027年の生産開始に向け、FDIが2024年に23億ドルに達しました(世界銀行)。東アフリカ原油パイプライン(EACOP)は、ウガンダとタンザニアを結ぶ1,445kmのプロジェクトで、年間200万バレルの輸送を計画。しかし、環境破壊(湿地破壊、野生動物への影響)や1.2万人の立ち退きが問題視され、ヒューマンライツ・ウォッチ(2023年)が批判。工業(GDPの25%)は建設、セメント、鉄鋼が牽引し、ジンジャの工業団地では鉄鋼生産が年間50万トンに達します。サービス業(44%)はICT、銀行、観光が成長。ICTでは、モバイルマネー利用者が2,500万人(2023年)に達し、フィンテックが農村経済を活性化。カンパラのスタートアップハブは、年間100社の新企業を輩出します。インフラでは、30,000kmの道路網(舗装2,800km)、1,350kmの鉄道、エンテベ国際空港が物流を支えます。2024年、西ナイル地域に289kmの送電線が完成し、160万人の電力アクセスが改善。政府は、2027年までに電力普及率を60%に引き上げる目標を掲げています。インフラ投資は、地域格差是正と経済成長の基盤です。 しかし、毎年100万人の労働市場参入に対し、雇用創出が追いつかず、都市部の失業率が15%に達しています。2024年、職業訓練プログラムが5万人を対象に開始され、ICTや建設分野の人材育成が進められています。

文化と社会

ウガンダは、45の民族と言語が織りなす文化のモザイクです。バガンダの伝統舞踊、ランギの口承文学、カラモジャの牧畜文化が地域の個性を形成します。キリスト教とイスラム教が社会を結びつけ、家族中心の価値観が根強いです。教育やジェンダー平等の進展は、若年層の可能性を広げる一方、貧困や伝統的慣習が課題です。都市部では西洋文化の影響が見られ、若者のポップカルチャーやSNS利用が急増しています。本章では、ウガンダの文化、宗教、教育、ジェンダー問題を詳しく探ります。

文化と伝統

ウガンダの文化は、音楽、ダンス、工芸品で表現されます。バガンダの「カブセラ」や「バキシンバ」舞踊は、結婚式や祭りで披露され、アマダリンダ(木琴)やンガリ(弦楽器)が伴奏します。バニャンコレの牛飼い儀礼は、牛を家族の象徴とし、結婚の持参金として20頭以上が贈られることもあります。カラモジャの戦士文化では、槍や装飾が勇気を象徴。カンパラのナイトライフは、伝統音楽とアフロビート、ヒップホップが融合し、クラブやライブハウスが観光客にも人気(Explore Uganda, 2024)。食文化では、ウガリ(トウモロコシ粥)、マトケ(調理バナナ)、ピーナッツソースのシチューが定番。ビクトリア湖のティラピアやムケネ(小魚)は、家庭料理や輸出品として重要です。工芸品(バスケット編み、ビーズ細工、木彫り)は女性の収入源で、カンパラのナカセロ市場では年間10万個以上が販売されます。伝統的結婚では、ブガンダの「クワンジュラ」(花嫁紹介式)が盛大で、親族100人以上が参加することも。都市部では西洋式の結婚式が増え、伝統と現代の融合が見られます。地域のフェスティバル(例:バガンダのエキチュワ祭、トロのアムロ祭)は、伝統衣装やダンスを披露し、観光資源としても機能します。文化的多様性は、ウガンダの観光資源と国民統合の基盤です。 しかし、グローバル化による若者の伝統離れや、工芸品の商業化が文化の希薄化を招く懸念があります。政府は、2024年に文化遺産保護法を改正し、伝統芸能の記録と教育への導入を推進しています。

宗教と教育

人口の84%がキリスト教徒(カトリック45%、プロテスタント39%)、14%がイスラム教徒、2%が伝統的信仰や他宗教です(Kids World Travel Guide, 2021)。教会やモスクは教育、医療、コミュニティ支援の場として機能し、カンパラのルビラ大聖堂やガダフィ・モスクは観光地でもあります。伝統的信仰は、カラモジャやバガンダの一部で自然崇拝や祖霊信仰として残り、現代宗教と共存します。教育では、1997年の普遍初等教育(UPE)で初等就学率が92%に向上したが、地方の女子教育は遅れ、38%の最貧層女性が未就学(UBOS, 2007)。中退率は50%超で、教員不足(生徒1人当たり教員0.02人)、教室の老朽化、教科書不足が課題。人的資本指数(HCI)は0.39と低く、2024年の世界銀行報告では、教育予算の倍増(GDPの3%から6%)が必要とされました。マケレレ大学は医学、工学、ICTのトップ校で、年間1,000人の卒業生を輩出。地方のキョーガ大学やムバララ大学も地域人材を育成します。2023年、政府はデジタル教育プログラムを導入し、農村部の学校にタブレット5万台を配布。しかし、電力不足(農村部の電力普及率20%)やインターネット接続(全国の30%)が普及の障壁です。ジェンダー平等では、女性の識字率(70%)が男性(85%)を下回り、早婚(15~19歳の34%)が教育機会を奪っています。2024年、女性向け奨学金が2万人に提供され、理工系進学が奨励されています。教育の質向上は、ウガンダの人的資源開発に不可欠です。 政府は、2025年までに中学校就学率を50%に引き上げる目標を掲げています。

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観光と自然

ウガンダは、野生動物、壮麗な自然、冒険観光で世界的に知られています。観光業はGDPの7%(2012-13年で1.88億ドル)を占め、雇用と外貨獲得の柱です(Wikipedia, 2024)。ゴリラトレッキング、ナイル川のホワイトウォーターラフティング、鳥類観察が人気で、10の国立公園が自然保護と観光を両立させています。カンパラの文化遺産や地方のフェスティバルも観光客を魅了します。本章では、ウガンダの観光資源、国立公園、文化的アトラクションを紹介します。

国立公園と野生動物

ブウィンディ国立公園とムガヒンガ国立公園は、世界のマウンテンゴリラの50%が生息し、ゴリラトレッキング(1回700ドル)が観光の目玉です。1日最大80人のトレッキング許可証は、1年前に予約が埋まる人気ぶり。ムルチソン滝国立公園は、ナイル川が45mの滝を形成し、ゾウ、キリン、クロコダイル、ヒョウが観察可能。ボートサファリでは、滝の迫力と野生動物を同時に楽しめます。クイーン・エリザベス国立公園は、木登りライオンやチンパンジーで有名で、カジンガ水路のクルーズはカバや水鳥の楽園です。ウガンダは1,060種の鳥類(シパピヨウチュウ、ハゲコウ、アフリカフィッシュイーグル)を誇り、鳥類観察のメッカ。キデポバレー国立公園は、半乾燥地帯でダチョウ、チーター、カラカルが生息し、観光客数が少ない秘境として注目されています。マバンバ湿地は、絶滅危惧種のハシビロコウの観察地で、年間5,000人が訪れます。2023年のウガンダ観光局データでは、観光客数が150万人(前年比15%増)に達し、エコツーリズムが10万人の雇用を創出。政府は、2024年に国立公園の管理予算を20%増額し、密猟対策(ゾウの密猟30%減)やレンジャー訓練を強化。国立公園は、生物多様性保全と観光収入のモデルです。 しかし、森林破壊(年間2%の森林減少)や気候変動による生態系変化が課題で、2024年に植林プロジェクトが10万ヘクタールで開始されました。

文化的観光と冒険

ジンジャのナイル川源流ツアーは、スピークが1862年に発見した地点を訪れ、ボートやカヤックで探検可能。グレード5のホワイトウォーターラフティングは、ナイル川の急流を下る冒険で、年間1万人が参加します。カンパラのナミレンベ大聖堂(1890年建設)、カスビ王墓(ユネスコ世界遺産、ブガンダ王の墓)は、歴史と建築の魅力。ルウェンゾリ山脈の登山(10日間、5,000m級)は、氷河と熱帯のコントラストを体験。湖ブニョニのボートツアーは、29の島を巡り、テラス農園やバタカ族の村を訪問します。地域のフェスティバルは観光資源で、バガンダのエキチュワ祭(8月、伝統音楽とダンス)、トロのアムロ祭(6月、収穫祝い)は、年間5,000人の観光客を集めます。カンパラのナカセロ市場やオウィノ市場では、ビーズ細工やカンガ布が土産として人気。センテウゲ(昆虫スナック)やロレックス(卵巻きチャパティ)の屋台も観光客に好評です。2024年、ウガンダ観光局は文化的観光を強化し、地方の博物館(ムバレのバニャンコレ文化館)を整備。自然と文化の融合は、ウガンダ観光の独自性を際立たせます。 しかし、地方のホテル不足(3つ星以上はカンパラに集中)、北部の治安問題(LRAの残党)、観光ガイドの訓練不足が課題。政府は、2025年までに観光インフラに5億ドルを投資する計画です。

社会問題と人権

ウガンダは、経済成長の一方で、貧困、失業、人権侵害、感染症に直面しています。北部でのLRA反乱の影響、2023年の反同性愛法、メディアの自由制限が国際的な批判を浴びています。高い出生率(女性1人当たり5.5人)と若年人口(平均年齢16.2歳)は、教育や雇用の需要を増大させ、社会インフラの負担となっています。都市部のスラム化や農村部の貧困も深刻です。本章では、ウガンダの社会問題、人権状況、国際社会の対応を詳述します。

人権と自由の制限

ムセベニ政権下で、野党指導者(ボビ・ワイン、キッツァ・ベシジェ)への逮捕、メディア検閲、インターネット遮断が報告されています。2021年の選挙では、不正疑惑や暴力(50人死亡)が問題視され、フリーダム・ハウスは「選挙の信頼性が低下」と評価。2023年の反同性愛法は、同性愛者に死刑を含む厳罰を科し、LGBTコミュニティへの差別や暴力を助長。米国、EU、カナダは法を非難し、2023年に米国が2億ドルの援助を凍結、EUが制裁を検討(ヒューマンライツ・ウォッチ, 2023)。カンパラのLGBTシェルターは、2024年に警察の強制捜査を受け、50人が拘束されました。北部でのLRA反乱は縮小したが、140万人の国内避難民の社会復帰が遅れ、トラウマや貧困が問題。2023年のアムネスティ報告では、治安機関による拷問(年間100件以上)や超法規的暴力が報告され、透明性と法の支配の強化が求められました。市民社会は活発だが、NGOへの規制(2021年のNGO法改正で登録要件強化)が活動を制限。カンパラの女性団体は、ジェンダー暴力(年間2万件)への対策を求め、2024年に全国キャンペーンを展開。人権侵害は、ウガンダの国際的評価と経済援助に悪影響を及ぼしています。 政府は、2024年に人権委員会を強化したが、独立性が疑問視されています。国際社会は、選挙改革と司法の透明性を求める圧力を強めています。

健康と貧困

ウガンダは、HIV/AIDS対策で成功し、感染率は1990年代の18%から2023年の5.4%に低下(UNAIDS)。抗レトロウイルス治療は、150万人が無料で受け、母子感染率は2%未満に。エボラ(2022年流行、55人死亡)やマラリア(年間500万件)対策も進むが、医療施設の不足(医師1人当たり患者1.8万人)が課題。2023年のWHO報告では、ポリオや結核のリスクが残り、ワクチン接種率(80%)の向上が急務。農村部の衛生施設(30%)や安全な水(60%)へのアクセスも不足し、下痢症で年間5,000人の子どもが死亡。貧困率は20%で、北部とカラモジャ地域で深刻(40%)。出生率(女性1人当たり5.5人)は高く、2060年までに学齢人口が960万人増加(世界銀行, 2024)。カンパラのスラム(キブーリ地区)では、10万人が1日2ドル未満で生活。2023年の首相府汚職スキャンダル(1,000万ドル流用)が社会支出を圧迫し、国民の信頼を損ねました。政府は、2024年に貧困削減プログラム(PDM)を拡大し、100万世帯に小規模融資を提供。女性の経済的自立を支援し、農村部のマイクロファイナンス利用者が50%増加しました。貧困と健康問題の解決は、持続可能な発展の前提です。 しかし、財政制約(予算の30%が債務返済)と汚職が課題で、2025年までに保健予算をGDPの5%に増やす計画が立てられています。

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今後の展望と国際関係

ウガンダは、石油、観光、ICTの成長を背景に、アフリカの新興国として期待されています。ウガンダ・ビジョン2040は、2030年までに中所得国(1人当たりGDP2,000ドル)を目指し、インフラ、工業化、教育を推進します。しかし、民主主義の後退、環境問題、若年層の雇用が課題です。アフリカ最大の難民受け入れ国(150万人)として、国際的な評価も高いです。地域統合や気候変動対策も今後の鍵となります。本章では、ウガンダの将来展望、国際協力、地域統合を展望します。

経済と開発の展望

2027年の石油生産開始は、GDP成長を10%以上に押し上げ、財政収入を増やすと予測されます(世界銀行, 2024)。アルバート湖の油田は、推定60億バレルの埋蔵量を持ち、年間200万バレルの輸出を計画。しかし、石油依存のリスクやEACOPの環境影響(湿地破壊、CO2排出)が議論されており、環境NGOが2024年に国際訴訟を提起。再生可能エネルギー(太陽光、風力)は、2023年に電力の10%を供給し、2027年までに20%を目指します。ICTは、モバイルマネー(2,500万人利用)やスタートアップ(カンパラで年間100社)で成長し、2024年にデジタル経済がGDPの5%を占めました。観光は150万人の訪問者を記録し、雇用20万人を創出。パリッシュ開発モデルや気候ファイナンス(MIGAの7.47億ドル)は、農村開発を支援。2024年、コーヒー輸出が10億ドルに達し、バニラや花卉が新市場(EU、アジア)を開拓。教育と職業訓練の強化は、若年層の失業率(83%)低減に不可欠。2024年、政府はSTEM教育に予算を10%増額し、技術人材5万人を育成。女性の理工系進学を支援し、奨学金受給者が2万人に拡大しました。多角的な経済戦略は、ウガンダの繁栄を支える基盤です。 しかし、債務負担(GDPの50%)や汚職(2023年の損失2億ドル)が成長を阻害。政府は、2025年までに税収をGDPの15%に引き上げる改革を計画しています。

国際関係と地域協力

ウガンダは、アフリカ連合(AU)、コモンウェルス、東アフリカ共同体(EAC)の主要メンバーです。ケニア、タンザニアとの貿易(年間10億ドル)やインフラ統合を進め、EACOPは地域協力の象徴。南スーダン(80万人)、コンゴ(50万人)からの150万人の難民を受け入れ、UNHCRから「世界のモデル」と評価(WHO, 2023)。カンパラの難民キャンプ(ナキバレ)は、職業訓練や農地提供で自立を支援。米国、EU、中国との関係が深まり、2024年には中国が道路(500km)、電力(200MW)で主要投資国に。英国との歴史的つながりは、コモンウェルスを通じた教育(年間1,000人の奨学生)、法制度(裁判官訓練)の協力に反映されます。EUは、気候変動対策で5億ユーロを供与し、植林や灌漑を支援。2024年、ウガンダはAUの平和安全保障理事会で、南スーダン和平交渉を仲介し、地域の安定に貢献。しかし、反同性愛法や人権問題が欧米との関係を緊張させ、2023年に米国が2億ドル、EUが1億ユーロの援助を凍結。カンパラの外交官は、2024年に人権対話をEUと再開し、制裁緩和を交渉。地域内では、ケニアとの国境紛争(ミゴ島の漁業権)が課題で、2024年にEAC調停委員会が設置されました。国際連携は、ウガンダの安定と発展を強化します。 政府は、2025年までに外交予算を20%増やし、アジア(インド、日本)との経済協力を拡大する戦略を立てています。気候変動対策では、2024年にパリ協定の目標を更新し、2030年までにCO2排出を20%削減する計画を発表しました。

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